社内向け制度リファレンスの改善で行ったことを紹介します

社内向け制度リファレンスの改善で行ったことを紹介します

社内の制度を理解するためにリファレンスは役立ちますが、内容が長大なものになってしまうと、業務の合間に読むには骨が折れます。今回行った改善では、読み手がより短い時間で内容を把握できるよう、様々な工夫を取り入れました。それらの中からいくつかの方法をご紹介します。
Clock Icon2024.03.05

こんばんは。僕です。

はじめに

社内の制度を運用する上で、その詳細を説明するリファレンスマニュアルは、意思決定や計画立案において不可欠な役割を果たします。

しかし、長大で煩雑なドキュメントは、忙しい日常業務の合間に読むことが難しく、疲労を感じさせます。本来ならばわかりやすくて使いやすいものであるべきなのに、それが逆に妨げとなってしまっては、せっかく用意した資料も台無しになってしまいます。

忙しい現場で働く従業員の皆さんが、時間を節約し、効率的に制度を運用するための手助けとなるようなドキュメントを作成するためには、どのような工夫をするとよいでしょうか。本稿では、実際のドキュメント改善で行った工夫の中から、主なものをいくつかご紹介します。

一度に全てを伝えない

多くの情報を一度に伝えようとすれば、読み手にとっては消化不良となります。また、長大な文章を目の当たりにすると、「これは今読めるものではなさそうだ」と感じられ、そもそも読むこと自体を回避してしまうかもしれません。

私たちが今回行った改善では、制度の全体像を把握できる概要ページを1ページ新たに作成し、そこから既存の詳細なリファレンスにリンクするように変更しました。

基本的な情報から順に提供し、追加の詳細情報は別のセクションや参照資料に分割することで、読み手が興味を持ちやすく、ストレスなく情報を吸収できる構成になります。

恒久的な内容と一時的な内容を区別する

文書に含まれる情報を恒久的なものと一時的なものに分けることで、情報にアクセスしやすくなります。

恒久的な内容は、制度や方針の原則的なことに関するものであり、長期間にわたって有効です。一方、一時的な内容は、特定の期間や状況に関するものであり、書かれていることに有効期限があるか、限定的な状況においてのみ適用されます。

恒久的な内容と一時的な内容を明確に区別することで、文書の信頼性と使いやすさとが向上します。

もともと私たちのリファレンスでは、年度ごとに提供していた資料もリファレンスに含める形としていました。しかし、年度ごとの資料の有効期限は1年間であり、あとから見返すことはほとんどありえません。そこで、年度ごとの資料はリファレンスの情報からは外し、年度ごとに行われる周知のほうに内容を集約することにしました。

また、年度ごとの周知からリファレンスのページにリンクすることで、リファレンスそのものの認知度を改善する狙いもあります。

内容の構造化のために適切な部品を使用する

どのようなことが書かれてあるのかををより把握しやすくするために、適切な部品を使用して内容を構造化するとよいでしょう。表や箇条書き、図解などを適切に応用することで、内容を視覚的に捉えやすくなります。

箇条書きを使う

あまり多くない項目を単に列挙したい場合は、箇条書きを使うのがわかりやすいとされています。

ただし注意点があります。箇条書きは、メモや議事録を取るときなど、簡単に文書を構造化するのに便利である一方、内容の重要度や詳細度を視覚的に把握することには全く向いていません。内容の多くの部分を箇条書きで表現してしまうのは、書き手にとっては書き下すのがスムーズであっても、読み手にとってはあまりよい体験にならないでしょう。

全体の構造化には、さらに以下のような方法が使えます。

章立てを工夫する

章立てによって内容が階層化され、全体の構造がわかりやすくなります。

しかし、章立てをするといっても、内容が細かく分割されていればそれでよいのでしょうか。あるいは、単にツリー状の構造になっていればよいのでしょうか。

工夫1:大事なポイントがいくつか列挙されている

「これだけおさえておけばOK!」というようなポイントをいくつか挙げたい場合は、「なるほど、大事なポイントが◯個あるんだな」ということが一目でわかるような章立て&レイアウトになっているとよさそうです。

工夫2:パターン化された内容が列挙されている

説明したい項目が2〜3個あり、それらについて同じような観点から詳述したい場合は、その項目を中見出し、観点を各項目共通の小見出しとしてまとめることができます。

表を使う

上述の「工夫2」のケースで、説明したい項目が数多くある場合は、箇条書きにしたり章や節に分けて羅列したりするよりも、表としてまとめたほうがスッキリするかもしれません。

図を使う

対立する概念や循環する概念、あるいは時系列として把握してほしい内容など、空間的な方向性や配置によって全体像を表現できるものについては、図解するのがよいでしょう。

一般に、そういった図解の仕方についてはいくつかのパターンがすでに知られているため、それほど高度なデザインスキルは必要ないとされています。しかし、色使いや配置のバランスの取り方など一部のスキルは専門性が高いため、デザイナーの方が近くにいるのであれば相談に乗ってもらうことをおすすめします。

おわりに

読みやすいリファレンスのまとめ方について、いくつかの方法をご紹介しました。

文書としてまとめる資料であるため、文字の情報にばかり目が行きがちですが、読み手は書き手が思っている以上に、一瞬で入ってくる視覚情報に強く依存しています。文字ばかりの資料を無条件に読み込んでくれる人は、そんなに多くありません。

いかに第一印象で「読んでみよう」と思わせるかが勝負ですね。

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